ページ更新日:2026/05/13
SANs(Subject Alternative Names、サブジェクトの別名)とは、SSL証明書の拡張フィールドに設定できる「追加の識別名」です。
SSL証明書のコモンネーム(CN)には1つのFQDNしか含められませんが、SANs拡張を利用することで複数のサーバー名やIPアドレスをまとめて1枚の証明書で保護できます。
現在発行されるSSL証明書のほぼすべてに、このSANsフィールドが含まれています。
SANsには、FQDNだけでなく以下のような形式を登録できます。
| 種別 | 例 | 説明 |
| dNSName | www.example.com | 最もよく使われる形式。FQDNを登録する。 |
| dNSName(ワイルドカード) | *.example.com | ワイルドカード証明書ではSANsにワイルドカードFQDNが登録される。 |
| iPAddress | 203.0.113.10 | IPアドレスに対してHTTPSを設定する場合に利用。パブリックIPアドレスに限定される。 |
| rfc822Name | user@example.com | S/MIMEなどのメール証明書で使用。 |
一般的なウェブサーバー向けSSL証明書では「dNSName」形式が使用されます。
IPアドレス(iPAddress)でのSANs登録は、Let's Encryptでは非対応ですが、DigiCertなど一部の商用CAでは対応しています。
かつてはコモンネーム(CN)がサーバー名の照合に使われていましたが、現在のブラウザはSANsを優先的に参照します。
RFC2818(2000年)の規定でも「証明書にdNSName形式のSAN拡張が存在する場合はそちらをアイデンティティ確認に用い、CNの使用は非推奨」とされており、Chromeなど主要ブラウザはすでにCNだけの証明書を受け付けません。
そのため現在発行される証明書では、コモンネームとSANsの両方に同じFQDNが設定されるのが標準的な形です。
関連FAQ:コモンネーム(CN)とは
証明書1枚に登録できるSANsの数は製品・CAによって異なります。
当サイトで取り扱うDigiCertのマルチドメイン証明書(True BusinessID Multi-Domain など)では、最初の1件に加えて追加SANの件数分の費用が必要となり、最大250件程度まで登録が可能です。
一般的なシングルドメイン証明書でも、「wwwあり・なし」対応のためにwwwのSANが標準で含まれる場合があります(追加料金不要)。
example.com・example.net・example.jpなど、複数のドメイン名を1枚の証明書で保護できます。
ワイルドカード証明書(*.example.com)では他のドメインをカバーできませんが、SANs対応のマルチドメイン証明書であれば異なるドメインも1枚にまとめられます。
example.comとwww.example.comは別ホスト名として扱われます。
SANsを利用して両方を1枚の証明書に登録することで、どちらのURLにアクセスされてもHTTPSエラーが出ない構成にできます。
多くの証明書ではwwwあり・なしのどちらかをコモンネームに、もう一方をSANsに自動追加する仕組みがあり、追加料金は不要です。
smtp.example.comとwww.example.comのように異なるホスト名を1枚の証明書に登録しておくと、鍵管理や証明書更新の手間が軽減できます。
マルチドメイン証明書はSANsに登録したすべてのFQDNがCTログに記録されるため、内部ホスト名の公開に注意が必要です。
ホスト名を秘匿したい場合はワイルドカード証明書の利用も検討してください。
関連FAQ:ワイルドカード証明書について、そのメリット
関連FAQ:SAN(マルチドメイン)とワイルドカード証明書の違い・選び方
関連FAQ:SSL証明書の種類(シングル・ワイルドカード・マルチ)
ブラウザのアドレスバーにある鍵アイコンをクリックし、「接続が保護されています」→「証明書は有効です」→「詳細」と進むと証明書の詳細が表示されます。
「サブジェクトの別名」または「Subject Alternative Name」の欄に、そのサイトの証明書に含まれるSANsが一覧表示されます。
複数ドメインが登録されている場合はすべてのFQDNがここに表示されます。
関連ページ:
コモンネーム(CN)とは
SANとワイルドカードの違い・選び方
SSL証明書の種類(シングル・ワイルドカード・マルチ)
マルチドメイン証明書の管理